根本雅文さん
8年間プロで活躍した格闘家「アーサー雅仁」
ITの力で介護現場の人手不足を解決する起業家「根本雅文」
どちらも同じ、根本さんのことだ。
二つの肩書は一見縁遠いように見えるが、格闘家と起業家には共通点が多い。
例えば、高い目標の達成に向けて、並外れた努力を惜しまないこと。
例えば、強い対戦相手に対して、プレッシャーを感じながらも立ち向かい続ける精神力。
例えば、大きなリスクをとっても、成功すれば大きなリターンを得られる。
根本さんは、プロのキックボクサーとして8年間活躍し、日本スーパーウェルター級の王者に上り詰めた。
そんなトップ選手だった根本さんが、所属ジムを運営する会社が高齢者向けデイサービス(通所介護)事業を手掛けていたことから介護現場を手伝うようになり、現場の人手不足という課題の大きさを体感することになる。
選手として引退した後は、「ビジネスの世界で生きていこう。ITの力を活かして介護の人手不足を解決するシステムをつくりたい」。そう決意した根本さんは、目標に向けてシステムの受託開発会社に転職して実務を学んだ後、2021年に起業した。
そんな根本さんが、2024年2月に満を持して立ち上げたサービスが、急な欠勤時や定期的に人手が欲しい介護施設と、介護ワーカーを結ぶ介護・福祉特化型の単発バイトマッチングサービス『ケアリンク』。
立ち上げて1年超で、千葉を中心に、東京・神奈川・埼玉といった首都圏で約5000名の介護ワーカーが登録済だ。
「単発バイト」と言えば、CMなどでお馴染みのタイミーなども介護分野での仕事を提供しているが、登録者は比較的若年層が多い。一方で、根本さんのケアリンクの登録者は、福祉業界で働く30代~50代の資格者や経験者層が多い。さらに、資格がなくても登録できるため、幅広い現場仕事とマッチングすることも可能になる。
また施設側は、資格者に限定して募集することも、未経験まで幅を広げて募集することもできるといった特徴がある。
もちろん、立ち上げ当初から順調だったわけではない。根本さんは、「最初の数ヵ月のマッチング数は両手で数える程度しかなく、キャンセルがあった際は自ら出勤していました」と苦笑いする。背景は、ワーカーを受け入れる介護事業者側の開拓の苦戦だ。
介護業界特有の話として言われるのが、新しい取り組みを導入する難しさ。日々の現場業務に忙殺されるが故に、毎日の業務を変更しなければいけないような取り組みは、例え効果があるとしても、なかなか受け入れられ辛くなる傾向がある。
そしてまた、介護業界は、特に大きなシェアを持った事業者がいない、所謂”フラグメンテッドな(細分化された)”市場なのだ。つまり、多くの小さい事業者も含めてコツコツと営業し、一つひとつ違うニーズに応えていく根気が求められる。
「裏では、Webサービス改善のためにプログラミングコードを1行1行書き続け、介護事業者様に1本1本電話をかけ続けています」
やることは格闘技と同じだ。目標に向けて、日々の1つ1つの努力を惜しまず継続する。同じような事業を手掛ける対戦相手は、自社より大きく且つ先行する。それでも、「一回使って試してもらえればわかる」と、初回無料キャンペーンや、競合に比べて安い手数料など、策を練って立ち向かい続ける。
今年中には、首都圏で、介護ワーカーの登録者を1万人まで伸ばし、夜勤や日勤など介護事業者側の多様なニーズとのマッチング率を引き上げることが目標。そのモデルを全国の主要都市へ、さらに地方都市へ広げていくため、次の資金調達も進めているところだ。
目指す高みは、介護現場の人材不足の解決に留まらない。自ら介護現場で手を動かしてきた経験から、将来的には、手書きの文化をデジタル化することや、保険申請システムの提供まで幅広くサービスを提供することで、各サービスをさらに安く提供したい思いもある。
そこに向けて必要な資金を得るための「株式上場」という大きな目標も、今から公言してはばからない。
大きい目標に対する日々の並々ならぬ努力に触れると、根本さんは微笑みながら「良くも悪くもネジが外れたというか、殴られすぎたのかもしれないけれど、挑戦することに熱い想いをもって、思いっきりやるだけです」と返してくれた。
根本さんには、格闘技の世界で王者という大きな目標まで駆け上がった実績がある。そして今、競技の中身は違えど、同じ努力と目標達成をビジネスの世界でやろうとしているだけだ。その再現可能性には期待しかない。
介護現場の人手不足に悩んでいる介護事業者の方々、是非『ケアリンク』を試しに使ってみてください。それ自体が、ご自身の課題解決と同時に、こんな素敵な起業家を応援することにつながります。
【ケアリンク(事業者様)】https://client.care-link.website/
【ケアリンク(ワーカー様)】https://worker.care-link.website